皆さまは「相馬野馬追(そうまのまおい)」という祭りをご存知でしょうか。
伝説によれば、相馬野馬追は今から一千年以上もの昔、相馬氏の遠祖とされる平将門が下総国小金ヶ原(現在の千葉県北西部)に放した野馬を敵兵に見立てて軍事演習に応用したことにはじまったと伝えられています。
そして捕らえた馬を神馬として、氏神である妙見に奉納したのです。
その後、 代々の領主がこの行事を伝承。 幾多の変遷を経て、現在は国の重要無形民俗文化財となっています。
旧藩領あげての最大の祭典として、今も熱気あふれる行事がくりひろげられています。
(相馬野馬追執行委員会公式ホームページより)
今年、この「相馬野馬追」が、3年ぶりに通常開催となりました。
伝統を今に伝えるこの祭りを見に行かない手はありません。
ということで、現地に行ってまいりました。
2022年7月24日 ひたち91号「相馬野馬追号」
今回、相馬野馬追に合わせて、臨時の特急「相馬野馬追号」が運転されました。
3年ぶりの通常開催ということで、各駅も歓迎ムード。
最近有名になりつつあるいわき駅のLED職人の作品も拝見することが出来ました。

原ノ町駅には9:25に到着。
ホームでは社員が横断幕を持ってお出迎え。駅を出る前からワクワク感が高まりますね。

原ノ町駅舎内も歓迎ムード一色!みどりの窓口では甲冑が展示されていたり、駅前にも「歓迎」の文字があったりと、相馬野馬追の会場に到着したことを実感します。


筆者が訪れた7月24日は「本祭り」にあたる日になります。
祭りは神輿を擁し市中を進軍する「お行列」に始まります。
開催地の相馬太田神社(中ノ郷勢)を先頭に、約350騎の騎馬武者達が小川橋付近を起点に3キロメートル先の本陣となる雲雀ヶ原祭場地を目指し進軍します。

甲冑に身をかため、太刀を帯び、先祖伝来の旗指物を風になびかせながら威風堂々にして豪華絢爛な時代絵巻を繰り広る姿は圧巻そのものです。
この感動を言葉で表現するのは困難ですので、ぜひ現地にてご覧ください。
雲雀ケ原祭場地に到着後は「式典執行」。
今年度が初陣となる総大将からの訓辞では、「度重なる災害、疫病の中においても先祖代々受け継いできた相馬野馬追を執行し、後世に受け継いでいくことは領民の希望となる」という言葉が。
東日本大震災などの災害、そして昨今の新型コロナウイルスの影響を乗り越え、千年を超える伝統の祭を受け継ぎ、地域のシンボルとして後世に繋いでいく、相馬地方の人々の誇りを感じます。
相馬流れ山踊りの伝承公開が行われた後は、「甲冑競馬」が行われます。
陣螺・陣太鼓が鳴り響くと、兜を脱ぎ、白鉢巻を締めた騎馬武者が、砂埃舞う中を人馬一体となり先祖伝来の旗指物をなびかせて、勇壮果敢に疾走していきます。

甲冑に身を包んで疾走する光景、旗指物のなびく音。相馬野馬追ならではのものです。
甲冑競馬がスタートしたのは1948年とのこと。野馬追を民主的で平和な馬事スポーツの祭典とするべく、“野馬追らしい新たな馬事スポーツ”として考え出されたのが、よろい・かぶとを身につけた騎馬武者の競馬「甲冑競馬」だったとのことです。
(南相馬市ホームページより)
甲冑競馬の後は「神旗争奪戦」が行われます。
陣螺を合図に満を持していた数百騎の騎馬武者達が集結し号砲一発、舞い下りる御神旗めがけて突進していきます。まさに騎馬武者の勇猛果敢な戦国絵巻が甦る光景です。


計20発の狼煙を打ち上げて40本の御神旗を争奪し、雲雀ヶ原祭場地での祭りは終了となります。

帰路の「相馬野馬追号」発車の際にも、社員を挙げてのお見送りが行われました。
東北を代表する夏祭りの一つでもある「相馬野馬追」。
伝統を今に伝えるこの祭りは、地域の誇りとして、そして地域の繁栄と安寧を祈る神事として、代々の当主が行事を継承し、そして後世に伝えていくことでしょう。
皆さまもぜひ一度、相馬野馬追をご覧になってみてはいかがでしょうか。
(2022年7月現在の情報です)