辛口チューハイ・タカラ「焼酎ハイボール」は松戸生まれ??

辛口チューハイ・タカラ「焼酎ハイボール」(以下、「焼酎ハイボール」と表記します)
みなさんもテレビCMやコンビニ、スーパーなどで見たことがあるかもしれません。
ここ2年、私のウェブ飲み会を支えてくれた存在であり、長きに渡り日々の疲れを癒してくれる心の友です。

自宅で晩酌をしていた時、缶ビールから入り、2杯目は焼酎ハイボールというルーティンをこなしていたのですが、ふと目にした焼酎ハイボールをスマホで検索していたところ、宝酒造「松戸工場」の記載を発見しました。

常磐線沿線に工場があったとは、、、どうしてこれまで気がつかなかったのかと悔やみつつ、常磐線の担当者として話を聞きに行かなくてはと、早速宝酒造さんに問い合わせ、幸いにも松戸工場にてお話を聞かせていただくことになりました。
(注)通常、宝酒造松戸工場では一般のお客さま向けの工場見学は行っておりません。今回は打合せおよび取材の際に許可をいただき、施設を見学させてもらいました。

和酒製造の分野では日本一の宝酒造

そもそもになりますが、宝酒造の歴史は江戸時代末期にまでさかのぼります。

京都・伏見にて清酒や甘酒を作る小さな酒蔵としてその歴史が始まりました。
その後、焼酎、みりん、白酒の製造を開始、少しずつ製造量を増加させ、大手酒造メーカーに発展。そして明治、大正、昭和の時代とともに日本、海外へと販売エリアを広げ、日本有数の、そして和酒(甲類焼酎や清酒、本みりん)の製造量においては日本一のメーカーとなりました。

京都・伏見の造り酒屋時代の集合写真と昭和初期の瓶詰焼酎(宝酒造画像提供)

松戸工場は北松戸駅徒歩5分!

シンプルな看板は缶チューハイの缶を感じさせます。


宝酒造の松戸工場。常磐線北松戸駅から徒歩5分の場所にあります。
ご対応いただいたのは、宝酒造松戸工場の坂田工場長と宝ホールディングス環境広報部の新村副部長です。

宝酒造の工場は松戸を含み、全国に6か所(松戸工場、楠工場、伏見工場、白壁蔵、黒壁蔵、島原工場)あります。
コンクールに出品するような日本酒は主に白壁蔵で造られ、お馴染みの「松竹梅」は主に伏見工場、芋焼酎「一刻者」は黒壁蔵で造られています。

宝酒造の工場は全6か所。(宝酒造資料提供)

松戸工場では東京ドーム3個分もある広大な敷地に、約170人のスタッフの方が働いています。
そして東日本エリアに流通している宝酒造の缶チューハイは松戸工場で製造されているのです!

つまり、JR東日本の各駅のお店で販売している宝酒造の缶チューハイは松戸工場産なのか。。。
さらに親近感が増してしまいました。

常磐線の車窓からも見える「寶」ロゴ

松戸工場の外観。「寶」のロゴが目立ちます。

常磐線の車窓から見える大きな「寶」のロゴが見えるのがランドマークでもあり、連続式蒸留塔のある建屋が、さまざまなベースとなるアルコールを製造する心臓部です。

主な原料である粗留アルコール(さとうきび糖蜜などを発酵させたアルコール)を連続式蒸留塔に供給し、蒸発、分縮、還流と繰り返すことで、純度の高い原料用アルコールを製造します。
そして、この原料用アルコールに水を加え、度数を下げ飲みやすく精製することにより一般的な甲類焼酎が完成するのです。

圧巻の連続式蒸留塔。高さは約35m!

東日本エリアの缶チューハイがここで造られている。

続いて、ついに訪問の目的である「焼酎ハイボール」の製造現場です。
胸が高まります。(決して試飲によるドキドキではありません。就業時間中ですのでご心配なく。)

CCHライン棟。もちろん缶チューハイ(Can-Chu-Hi)ラインのこと。

ちなみに、日本初の缶チューハイを発売したのは宝酒造さんということをご存知でしたか??
1984年1月24日、その名も「タカラcanチューハイ」として日本で初めて発売され、今年で38周年を迎えました。

「タカラcanチューハイ 1984年発売当時のデザイン」(宝酒造画像提供)


閑話休題、担当の丸山さんが「焼酎ハイボール」のラインについて丁寧に説明をしてくれました。
「松戸工場では缶チューハイを24時間体制で製造していますが、アルミ缶への充填から、蓋の圧着、X線による検品、商品の梱包まで、すべてオートメーションです。」

充填工程が非常にわかりやすくまとまっています。

缶が美しく流れていきます。

回りながら缶にチューハイが充填されていきます。

美しくラインを流れる「焼酎ハイボール」の缶たち。
また、担当の丸山さんからも、品質に対する真摯な姿勢を感じます。
その製造現場を直接見たことで、「焼酎ハイボール」がさらに愛おしく思えるのでした。

最後に

今回の見学を通じて工場長の坂田さんにいろいろな話をしてもらいましたが、その中で一番印象的だったのが、製品に対する使命感というものです。
現場で製造にあたっているスタッフさんのモチベーションをどのように維持しているのか伺ったところ、

「モチベーションというより、スタッフにあるのは使命感です。
お客さまの口に入るものですので、安全であることは当たり前であり、常に100点を取ることが求められます。
だから正直しんどいこともありますよ。
それでもスタッフ全員が安全な製品をお客さまに届けたいという想いでやっています。」
との答え。

酒造メーカーである宝酒造さんと私ども鉄道会社では、異なる業種業界ですが、当たり前の安全を目指すということに非常に共感を覚えました。

また、坂田さんはスタッフの方々と接するときはとにかく目を見て挨拶をすることを心がけているとのことです。
挨拶を大事にされているという言葉どおり、工場周辺を案内していただいた時に、すれ違うスタッフの方々が必ず挨拶をしてくれました。

さらに私どもが事務所を後にする際、事務所内にいた方々が全員立ち上がってのお見送り。
恥ずかしさと申し訳なさを感じつつ、こういう方々が真摯に商品製造に携わってくれているのだなと感動を覚えました。
そして宝酒造松戸工場に伺った夜、もちろん「焼酎ハイボール」で祝杯(?)をあげ、いい気分で眠りにつくのでした。

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