Jexerって筋トレするところじゃないんですか!?~eスポーツステーション始まりの地、松戸駅~

JR松戸駅の中央改札を出ると目に入る「Jexer」の看板。まるで速筋と遅筋を表現しているかのような赤と白の特徴的な色合い。
身体に熱気がこもる。少し緊張する。脳内でアドレナリンが放出されていく。
理想の身体に近付く為、休みの日には上野駅直結の「Jexer」に通い、幾度となくベンチプレスやスクワットで潰れた記憶がよみがえり、勝手に身体のスイッチが入ってしまう。

しかし、よく見てみるといつもと何かが違う。
「Jexer e-sports station・・?」

店内をのぞいてみる・・・。ない!!ダンベルもバーベルもない!!!ランニングマシンもエアロバイクもない!!!!!プロテインすらない!!!!!!

では一体何があって、何をする場所なのか。答えを探るべく、取材を実施した。

店内に入ると、清潔感に満ち溢れたすっきりとした空間と、入口前にあるe-sportsで使用するであろうめちゃくちゃかっこいいアイテム達が鎮座している。
思わず目を奪われていると奥から爽やかな男性が笑顔で迎えてくださった。
この方が本日取材をさせていただく施設運営・プログラミング教室講師の陣内祐樹さん。
e-sportsはまったくの未経験である私だが、今回は様々な角度からこの施設を探っていこうと思う。

すっきりとした店内
鎮座するアイテム達


e-sportsを通じたコミュニティの醸成

まず店内を一通り見渡したところで感じた素朴な疑問を投げかけてみた。

―この施設とネットカフェでは何が違うのでしょうか?
陣内さん:まず、パソコンのスペックの違いがあります。町中のネットカフェでもゲームは出来ると思いますが、ここはe-sportsに特化したパソコンと高速回線を揃えています。
e-sportsを行うための環境面での強みがあります。
利用可能なタイトル数の豊富さもネットカフェとの違いです。今(2023年1月)のタイトル数は29です。

目から鱗であった。
e-sportsにおいて機械の性能はそのままプレイヤーのパフォーマンスに影響するという。
私の質問はレースサーキットを走るスポーツカーを目の前にして「遊園地のゴーカートとは何が違うんですか」と聞くようなものだった。
決してネットカフェのPCの性能が劣っているということではなく、そもそもの目的が違うということだろう。
よりe-sportsのプレイに特化した設備が揃っているという意味である。

陣内さん:また、お客さま同士がここで知り合い、新たなコミュニティが生まれることもあります。
店内に貼ってあるクラブ活動の掲示を見て興味を持ち、他店との交流戦にJexer松戸店チームとして参加いただく中でお客様同士が繋がることもあります。
こうしたお客様同士の繋がりやイベントもe-sports施設ならではだと思います。

私自身、スポーツジムで何度か同じタイミングでトレーニングをしていた方から声をかけられたり、トレーニングの補助をお願いされたりしたこともあり、何名か知り合いができた経験がある。
共通の趣味や目的を持った人間同士だと、本来であれば段階を踏んで近づいていく他人との心の距離をまるで三段跳びの如く急速なスピードで縮めることがある。
これもネットカフェではなく、e-sportsに特化した施設だからこその価値だといえる。

e-sportsだけじゃない居心地の良い空間

この施設をきっかけに経験者同士のコミュニティが生まれる環境というのは素晴らしいことに違いないが、その反面、初心者にとっては敷居が高く感じてしまったり、e-sportsに興味がない人は全く関わったりしない施設になってしまうのではないだろうか。
そんな懸念を感じる中で、店内でエリア分けがされているPCエリアとイベントコミュニティエリアについて質問をしてみた。

陣内さん:イベントコミュニティエリアは様々な目的でご利用いただけます。
当店はe-sportsだけの施設ではなく、多くの方にご利用いただきやすい施設を目指しています。
例えば、イベントコミュニティエリアでもWiFiが使えるのでビューンのデジタル書籍読み放題で最新の雑誌や漫画を読むこともできますし、ドリンクバーもご利用いただけます。
飲食持ち込みも可なので休憩や、ノートPCを持ち込んでのお仕事や勉強でもご利用いただけます。
PCエリアもYouTube視聴やDAZNでスポーツ観戦、GOM MIX Proで映像編集等、e-sports以外の目的でのご利用も出来ます。
e-sportsが初めての方にもスタッフが始め方をレクチャーしますので安心してお越しください!

私の心配は完全に杞憂であった。
e-sportsを全力で楽しみたい方を満足させる環境が整っており、なおかつ、テレワークやちょっとした息抜きなど多目的に使用できる快適な環境も整っている。
たとえるならスポーツジムで120kgのバーベルを持ち上げている隣の部屋で料理教室や手芸教室が開かれているようなものだろう。そんなジム、絶対面白い。
共通の趣味を持った人同士でのコミュニティが生まれる場所でもあり、一人で落ち着いた時間を過ごしたいという人にもおすすめができる、そんな素晴らしい施設がこんな身近にあったなんて・・・。

イベントコミュニケーションエリア
PCエリア


ゲームで怒られた時代、ゲームでスキルアップする時代

子供のころ、ゲームが好きでよく母親に怒られた。
「天気が良いなら外で遊んできなさい!」
「テストが赤点ならゲームは禁止!」
そんな環境で育った私はゲームが教育上良くないことだという意識があり、今回の取材においてもe-sportsに興味を持った子供たちは自分のように親の目を気にしながらプレイすることにならないかなと少しネガティブなイメージを持っていた。

―私が子供のころはゲームが遊びで、勉強の邪魔になるものというイメージがあったのですが、e-sportsの普及に伴い、そのあたりのイメージというものは変わってきているのでしょうか。
陣内さん:この施設でも小学生対象のプログラミング教室を開講しているのですが、マインクラフトというゲームでプログラミングを学習しています。
遊びながら勉強することができ、ローマ字の理解やタイピング能力の向上に繋がっています。
プログラミングを通して得られる物事を順序だてて考える能力の向上はとても重要で、ゲームを通して「楽しく学ぶ」ことで自らのスキルアップに繋げることができます。
e-sportsに関しても子どもだけでなく、企業での研修にコミュニケーションの活性化やチームワークの醸成を目的として導入される等、ゲームの新しい価値が注目されています。

昔はゲームより勉強しなさいと言われていたが、今はゲームを通して楽しく学び、将来役に立つスキルを身に付けることができる。
聞くと、プログラミング教室に通った小学生が、はじめはローマ字も読めない状態からスタートし、半年後には1分間で60文字のタイピングができるレベルまで上達した子もいるとのこと。
私自身も1分間で60文字タイピングできるか怪しいレベルなので、小学生と肩を並べてプログラミング教室に通うことも前向きに検討したいと思う。

話を聞けば聞くほど、様々な用途があり、だれでも気軽に立ち寄って、それぞれが満足できる施設だと実感した。
競技としてのe-sportsをプレイするも良し、観戦するも良し、教育としてe-sportsを活用し、自らのスキルアップを目指すも良し。
お店に入る前にはトレーニングの機材がない「Jexer」にショックを受けていた私が、取材を通してe-sportsの魅力を知り、価値を理解することができた。

この「Jexer e-sports station」が『松戸駅の改札前にある珍しい施設』ではなく、各駅に設置され、人々の生活の一部として当たり前のように活用されていく未来もそう遠くないかもしれない。

DATA

●ジェクサー・eスポーツステーションJR松戸駅店
【住所】松戸市松戸1-1181
【営業時間】9:00~22:00
【定休日】なし
【電話】047-701-7531
【公式HP】https://www.jexer.jp/e-sports/

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