伝統技術を受け継ぐ、柏市の刃物鍛冶
刃物の産地といえば、新潟県三条市や岐阜県関市、大阪府堺市などが有名。ですが! 千葉県にも昔ながらの伝統技術を継承している鍛冶屋があるんです。柏市にある刃物鍛冶工房「五香刃物製作所」もそのひとつ。
1990年に刃物の卸問屋として創業した五香刃物製作所は、1995年に刃物鍛冶職人の関守永(せき・もりえい)氏を招いて鍛冶工房を設立。現在、鍛冶職人として腕を振るっている八間川義人さんが職人の道を選んだ背景には、当時引退を控えていた関氏の技術を絶やしてはならないという熱い思いがあります。親方から受け継いだ技術を後世に伝えるため、八間川さんは若手の育成にも力を入れているのだとか。
職人が全工程を一人で仕上げる「関東牛刀」
千葉県指定伝統的工芸品に認定されている、五香刃物製作所の洋包丁「関東牛刀」(「全鋼 総手造り ツバ付牛刀 180mm」16,500円、「白紙一号 総手造り ツバ付牛刀 180mm」38,500円 ※一般店頭での販売参考価格)は、八間川さんが親方から受け継いだ伝統的な技法で一貫生産されています。1丁の包丁が完成するまでの工程は30以上。そのすべてが職人一人の手作業というのは驚きですね。
包丁を長く使い続けるためには、日頃の手入れが大切とのこと。その方法は非常にシンプルで、使用後に洗って、乾燥状態になるまでしっかり水分を拭き取るだけでOK! ちなみに切れ味が落ちた包丁は、たとえ他社製品であっても研ぎ直してもらえますよ。

ほかにもまだある、千葉県の伝統的工芸品
五香刃物製作所では、洋包丁の製造だけでなく、鎌や金切りばさみといった工匠具の卸売も行っています。これらの「千葉工匠具」は、千葉県内の鍛冶職人によって手造りされたもの。経済産業大臣指定伝統的工芸品として全国の職人たちに愛されている、プロ御用達の品々です。日本各地の刃物産地で機械による大量生産が主流となる中、いまも千葉県には手造りにこだわる職人たちがいます。事細かな注文や要望に応えた品を造ることができるのも、機械による大量生産では失われてしまった技術や工程が息づいている伝統工芸品ならでは。
匠の伝統技術が光る、五香刃物製作所の関東牛刀。その切れ味のよさを体感すれば、これまでの包丁にはもう戻れなくなりそう。ちょっとお値段が高めに感じるかもしれませんが、一生モノなので実はリーズナブル。結婚祝いなどの品として贈るのもいいですね。

DATA
●株式会社五香刃物製作所
【住所】柏市藤ケ谷369-10
【営業時間】9:00~18:00(土は~12:00)
【休業日】日・祝
【アクセス】JR柏駅から車25分
【公式HP】https://gokouhamono.com/
※2021年3月時点の情報です。