旧取手宿本陣染野家住宅は宿場町・取手を体感できる歴史スポット!

江戸時代の“VIP専用ホテル”的存在

道路からやや奥まった表門をくぐると大きなかやぶき屋根の主屋が見えてきました。「旧取手宿本陣染野家住宅」は水戸街道取手宿の本陣として使われていた由緒ある邸宅で、大修復工事を経て1997年から一般公開されている、取手の文化財です。

取手は水戸街道がスタートする千住宿から数えて6つ目の宿場町でした。1687年(貞享4)、この地で代々名主を務めてきた染野家が本陣に指定され、参勤交代で江戸と水戸を往来する大名やお付きの上級武士のための宿として使われていました。いわば“VIP専用ホテル”で、徳川斉昭など多くの大名がここで足を休めたといいます。

大きなかやぶき屋根を支える梁(はり)組みは江戸時代に建てられた当時のまま残っています。

主屋には2つの入り口があり、入母屋造りの立派な玄関は大名や上級武士のためのもの。染野家の人たちはその横にある大戸から土間を通って中に入ります。パネルが展示されている土間の奥には、調理場として使われた石くども再現されています。そして注目は土間の天井。幾重にも組まれた梁が大きな屋根を支えている様子は、圧巻の一言に尽きます!

昔の利根川の様子や利根大橋ができるまでを解説したパネルを展示。

本陣の裏山にも必見のスポットあり!

主屋の総面積は約94.5坪と広く、中は染野家の住居スペースと本陣スペースに区切られています。本陣の一番奥には床(とこ)や違い棚、天袋が設えられた大名専用の「上段の間」があり、他の部屋より床が約20cm高く造られた特別室。滞在時には屋根裏と床下に警護役が待機するなど万全のセキュリティー体制だったようです。

大名が寝泊まりしたスイートルーム「上段の間」。細部のデザインが凝っています。

本陣内をひと通り見学したところで、裏山に置かれた徳川斉昭の歌碑にも足を延ばしてみましょう。1840年(天保11)、江戸から水戸に向かっていた徳川斉昭が利根川を渡る船中で詠んだ和歌で、後年になって水戸藩から染野家に贈られたというありがたい歌碑。木々の葉音も耳に心地良い、まるでヒーリングスポットのような裏山です。

水戸徳川家から贈られた歌碑。石を削り出した貴重な代物だとか。

主屋は江戸時代の終わりとともに本陣の役目を終え、明治時代には郵便局として使われたそう。建物の一角には当時の窓口が現存しているなど、まだまだ見どころがあります。取手宿の様子を今に伝える「旧取手宿本陣染野家住宅」で、水戸街道の歴史にぜひ触れてみてください!

DATA

●旧取手宿本陣染野家住宅
【住所】取手市取手2-16-41
【開館時間】10:00~16:00(最終入館は15:30)
【休館日】月~木
【アクセス】JR取手駅東口から徒歩8分
【公式HP】https://www.city.toride.ibaraki.jp/maibun/bunkakatsudo/rekishi/shitebunkazai/somenoke.html
※2021年3月時点の情報です。

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